褐毛和種生産振興ネットワークは、褐毛和種生産者のクオリティ・オブ・ライフ (QOL) を向上させ、持続的な褐毛和種生産体系を可能にするために農林水産省「平成28年度戦略的技術開発体制形成事業」を受けて平成29年2月に設立されました。
高知大学農林海洋科学部を拠点とし、高知県の生産者、企業、畜産試験場、大学に限らず、熊本県、宮城県などの研究機関と連携し、地域や牛の品種を越えた研究ネットワークが特長です。メンバーは幅広い分野の専門家で構成され、褐毛和種にご興味のある皆様の技術的なニーズに応えていきます。
和牛には黒毛和種、日本短角種、無角和種そして褐毛和種の4品種が存在します。黒毛和種は日本全国で約158万頭飼養されています。一方、褐毛和種は約2万頭と少なく、貴重な存在となっています。
褐毛和種は熊本県と高知県で飼われていた朝鮮牛から、独自に改良された品種です。それぞれの土地に根ざした特徴を持ち、褐毛和種熊本系(くまもとあか牛)は、放牧に強く体型は高知系に比べやや大型です。褐毛和種高知系(土佐あかうし)は、目の周り、角、舌、蹄などが黒い「毛分け」といった外見上の違いがあります。
褐毛和種のお肉は黒毛和種と異なり、“霜降り”ではなく「赤身と脂肪のバランスの良さ」が特長です。最近では、くまもとあか牛、土佐あかうしともに人気が高まっている一方で、その頭数および生産者数の減少が大きな課題となっています。
これまで民間企業・研究機関・大学等では、技術的成果があげられたとしても、現場に一致せず実装出来ていない事例が散見されました。また、生産者が技術的課題を気軽に相談できる窓口がないといった課題に直面していました。
これらの課題を解決するため「日本型フードバレー※」構築を目指し、研究ネットワーク形成事業は拠点機関に相談窓口を常設し、生産者が経営上の技術課題をいつでも相談できる体制を構築すること、そして研究ネットワーク構成機関が一体となり即現場で活用できる技術を開発することを目的としています。
詳細は農水省HP、農林水産省農林水産技術会議HP「平成28年度戦略的技術開発体制形成事業公募情報について」をご参照ください
フードバレーとは、オランダの食関連企業と「知」が集積したエリアの総称です。
オランダのフードバレーは、ワーヘニンゲン大学を拠点として約8000人の科学者、1500の食品関連企業、70の化学企業、20の研究機関が集まり、世界規模の研究開発拠点を築くことで農産物輸出額世界2位を可能としています。近年では、日本でもフードバレーを目指した取り組みが始められているところです。