学会発表L-アスコルビン酸2リン酸の培地への添加がウシ体外受精胚の割球分離後の発生に及ぼす影響
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【目的】これまでに我々は、L-アスコルビン酸2リン酸 (AA-2P) の培地への添加が凍結融解後のウシ体外受精胚、および凍結融解胚盤胞の切断2分離後の生存率向上に効果があることを報告している (日本繁殖生物学会第105回つくば大会)。一方、高知県で飼養されている褐毛和種高知系は約1,700頭しかおらず、受精卵移植による増頭を推進しているが、より効率的な胚生産が必要とされている。そこで本研究では、褐毛和種高知系の効率的な増頭を目的として、AA-2Pの培地への添加がウシ体外受精胚の割球分離後の発生に及ぼす影響を検討した。【方法】食肉処理場由来の卵巣より採取したウシ卵母細胞を、エストラジオール17β、ピルビン酸、FSHおよび10%FCSを添加したTCM199培地内で22時間体外成熟培養をおこなった。体外成熟後、体外受精をおこない、体外受精28時間後に2細胞期胚をプロナーゼで透明帯を溶解し割球を分離した。その後BSA添加CR1aa培地に500 μM濃度の AA-2Pを加えた添加区および無添加区にそれぞれ分離した割球を導入し20時間培養した。培養ディッシュにはWell of the Well (WOW) を用いた。両区とも体外受精48時間後に5%FCS添加CR1aa培地に代え、その後6日間培養した。体外受精後8日目における胚盤胞発生率および総細胞数をAA-2P添加区および無添加区で比較した。【結果】AA-2P 添加区および無添加区で20時間培養した割球のそれぞれの胚盤胞発生率は62%および44%となり、AA-2P添加区では無添加区よりも胚盤胞発生率が向上した。胚盤胞の総細胞数は、AA-2P 添加区および無添加区でそれぞれ51.5±20.3個および41.0±21.1個となった。