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ご報告:香気分析セミナーに参加して

2017年05月10日 技術情報

皆さん、こんにちは。高知大学の松川です。
大学研究室では、自分たちが育てた土佐あかうしの試食会を実施することがあります。その際、研究棟内には美味しさをそそる独特の香りが充満し、さらに口に入れると何ともいえない香りが鼻に抜けます。
「和牛香」として知られるこの独特の香りを分析する手法を検討していたところ、分析機器メーカー主催の「香気分析セミナー」が大阪で開催されるということで参加してきました。
http://www.chem-agilent.com/contents.php?id=1004631

一般的に香気成分は、ガスクロマトグラフ(GC)*およびガスクロマトグラフ-質量分析計 (GC/MS)**という機器を用いて分析されます。今回はその最新機器の紹介も兼ねたセミナーでしたが、褐毛和種牛肉の特長を検討する上で参考となるであろうトレンドが2点ありました。

・微量だが、香気に大きく寄与する成分の探索→分析精度の向上によりこれまで未知だった成分が検出できる
・口腔内で発現する香気の分析→食べる感覚に近い香りの分析

皆さんが味だと思っていた感覚 (風味、フレーバー)は、実は香りによる感覚だと言われていますが、鍵となる香気成分や風味成分、それらの化学的、感覚的な特性には不明な点が多いのが現状です。

今後、褐毛和種に特徴的な香り成分を探索することで、他牛肉との差別化の推進や”美味しさ”の指標にならないか?と考えています。現在、褐毛和種生産振興ネットワークでは「香り」を分析できる機器を設置していませんが、今後、取り組んでみたいテーマの一つです。

本トピックスをご覧になった方でセミナー内容について詳細をお知りになりたい方は、HP「技術・情報提供の窓口」からご連絡いただければ幸いです。

*ガスクロマトグラフ(GC):物質を分離・精製する装置、主に気化しやすい化合物の同定・定量に用いられる。

高知大学に設置しているGC。肉質の中でも脂肪酸の分析に使用していますが、この機器は香り成分の分析は苦手です。

**ガスクロマトグラフ-質量分析計 (GC/MS):GCによって分離した分子をイオン化し、さらに質量分析計 (MS) によってその質量を測定する装置。

文責:松川 和嗣(高知大学)